採血の根拠――駆血帯を巻く時間から溶血の防止まで
連載:根拠でわかる看護技術(第6回)
採血は日常的な手技ですが、正確な検査結果を得るには根拠に基づく手順が欠かせません。駆血時間・穿刺角度・溶血予防など、見落としがちなポイントを解説します。
採血は「検体の質」を守る技術
採血の目的は血液という検体を得ることですが、採り方が不適切だと検査値そのものが変わってしまいます。正しい手技は患者さんの負担を減らすだけでなく、正確な診断のための土台になります。
駆血帯を巻く時間の根拠
駆血帯は静脈を怒張させて穿刺しやすくするために巻きますが、長く締めすぎると問題が生じます。
- 駆血時間が長引くと、局所で血液がうっ滞し、血液濃縮や電解質の変化が起こる
- 特にカリウムやカルシウムなどの検査値に影響することがある
- そのため駆血は1分以内を目安とし、長引く場合はいったん緩める
また、駆血帯は穿刺部位から数センチ中枢側に巻き、動脈の拍動が触れる強さにならないよう注意します。
穿刺の角度と血管の選択
穿刺角度は一般に15〜30度程度が目安とされます。角度が浅すぎると皮下にとどまり、深すぎると血管を貫いてしまいます。血管は肘正中皮静脈がよく用いられますが、神経や動脈の走行を避けることが重要です。手首の内側や神経損傷のリスクが高い部位は避けます。
溶血を防ぐ
溶血とは赤血球が壊れて内容物が血漿中に漏れ出す現象で、カリウム値の偽高値などを招きます。
- 細すぎる針での強い吸引を避ける
- 採血後にスピッツへ勢いよく血液を注入しない
- 抗凝固剤入りのスピッツは規定量を守り、静かに転倒混和する
これらは正確な検査結果を守るための基本です。
採血後のケアと安全
抜針後は穿刺部を数分間しっかり圧迫止血します。もまずに押さえることが皮下出血の予防になります。抗凝固薬を内服している患者さんは止血に時間がかかるため、より長めの圧迫が必要です。使用済みの針はリキャップせず、その場で専用の廃棄容器に捨てることが、針刺し事故の防止につながります。
患者さんへの配慮
採血は多くの人にとって不安や痛みを伴う処置です。声かけを行い、緊張を和らげることも看護の一部です。迷走神経反射で気分不良を訴えることもあるため、顔色や表情の観察を怠らないようにします。正確さと安全、そして患者さんへの配慮を両立させることが、質の高い採血につながります。
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